題名からして幻想的な雰囲気ですよね。
主人公は猫探偵正太郎シリーズの登場人物、浅間寺竜之介です。
彼が登場となると幻想と言うより神秘的という方か合うかも。
正太郎シリーズをご存じない方でも、全く独立した作品なので大丈夫です。(その後正太郎も読むともっと面白い)
社会科の教師から小説家となった竜之介は愛犬サスケと共に京都の山村で「田舎暮らしの達人」として生活していた。
そんな彼の元に届いた17歳の少女からのファンメールで村祭りの奉納舞を見に来て欲しいと誘われた。
竜之介とサスケは「地図にない村」にむけ出発した。
以降ネタバレあり!
読んでいく内に何となくわかるんですが、竜之介があまりにも昭和の時代にマッチしすぎて、時代については追及する気持ちが失せてしまいました(笑)。
村に着くまでの道で、竜之介の言葉を借りて作者の自然に対する思いの深さに触れ、蝶の乱舞するシーンの描写の細かさにため息。
「星の海を君と泳ごう」でも感じたんですが、本当に幻想的なシーンを見事に書いてくれますよね~。
そんな中で起こる殺人と、ラストの芥子畑で暴かれた真相は、のどかな山村には似つかわしくない殺伐としたものでした。
つまりそれは、人間の欲とか業って言うのは、時代や場所は関係いって事ですね。
人と人が集まる限り、不滅って事かなあ。
ラストで、竜之介が 「やっと、逢えた。」 と心でつぶやくシーン。
このシーンがこの作品の着地点(解説参照)だったんだ・・・。
でも、何となく再会シーンも見てみたかったかもしれない・・・。