「巷説百物語」「続巷説物語」に続いての第三弾です。
維新から10年、薬研堀の九十九庵には、一白翁と名乗る老爺が住んでいた。怪異譚を集めて諸国を漫遊していたという彼の話を聞きに、奇談好きの4人の若者達が集う。
「一白翁」と名乗るご老人の正体は、あの山岡百介です。
若者達に過去の奇談を語って聞かせ、現在の不思議な事件の解決の糸口を与える事となります。
読み進むうちに一白翁と暮らす小夜という娘の正体がぼんやりと解き明かされて行きます。
そしてラストへと一気に盛り上がって行くわけですが、過去と現在の入り交じった雰囲気に呑まれ、読んでいる自分も過去の話に懐かしさを覚えてしまいます。
そして過去の又一の仕掛けの完成度がいかに高かったのかが後日談のようなかたちでわかります。
小夜にからめた百介の命をはった仕掛けの結末が、何とも彼らしい物だったなあとシミジミ思いました。
微笑んで旅立っていった彼の一生の感想を彼の口から聞き出してみたい。